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行政書士試験 過去問から読み解く 民法 債権法 (債権者代位権)

 

行政書士試験対策、過去問から読み解く 民法 債権法 「債権者代位権」
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債権法 過去問から読み解く#2 (債権者代位権)

今回は、過去問をベースに債権者代位権について学びます。

 

債権者代位権は、詐害行為取消権と共に、講学上「責任財産の保全」のところで扱います。

では、責任財産とは何でしょうか?

 

責任財産とは?

債務者の全財産を、債権内容の実現を保障するものという観点から責任財産という。

 

ここで、意識することは、(特に詐害行為取消権のところで重要)

視点:責任財産の維持に対する債権者の利益 VS 債務者の財産管理の自由

 

 

さて、この債権者取消権をどのように理解すれば良いのでしょうか?

下図を確認してみよう。

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実は、履行確保の場面と密接な関係を持ちます。

債権回収の実際は、①正攻法(訴訟等)、そして②担保からの回収(物的・人的担保)、そして、③抜け駆け的債権回収(代物弁済・債権譲渡・相殺)があり、「責任財産の保全」は、③の抜け駆け的債権回収への対抗策、正攻法支援というように位置付けて考えればより実務的思考になります。 試験対策では、単にタームと条文、判例を押させれば良いのですが、実際の機能を意識することでより整理されますし、「法的」な思考力は磨かれます。

 

 

 

 

債権者代位権

債務者がその財産権を行使しない場合に、債権者がその債権を保全するために、債務者に代わってその権利を行使して、債務者の責任財産の維持、充実を図る制度。(423条)

 

(債権者代位権)

第四百二十三条  債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。

2  債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。

 

 

 

 

債権者代位権行使の要件

  1. 被保全債権が金銭債権であること(原則) - 423条1項但書
  2. 被保全債権の履行期の到来 - 423条2項
  3. 債務者が無資力であること - 423条1項 本文
  4. 債務者が未だその権利を行使しないこと - 条文にはない。通説。
  5. 一身専属権以外の財産権であること - 423条1項

 

無資力要件不要の例 : 登記請求権 目的物の引渡し請求権の代位行使の場合等 (転用) 

*債権者代位権は裁判外でも行使できる。

 

債権者代位権を行使するには

債権が弁済期にあること(423条2項)

例外:裁判上の代位・単なる保存行為の代位

逆にいうなら、裁判上の代位であれば、債権が履行期でなくとも良いということ。

 

 

代位行使できない債権

一身専属権(423条1項但書) 差し押さえできない権利

一身専属権とは → 行使が権利者個人の意思に委ねられなければならない債権。

例:慰謝料請求権

 

 

債権者代位権 効果

  • 債権者代位権の効果として、債務者は当該権利につき、処分が一切禁じられる。
  • 時効の中断。債務者の第三債務者に対する債権は時効中断する。(147Ⅰ)
  • 効果は直接債務者に帰属する。(総債権者の共同担保になる。)
  • 債権者代位権行使による給付物は債権者が受け取ることができる。
  • (事実上優先弁済)→ 債務者への引渡債務と、自己(債権者)の債権との相殺。
  • 費用償還請求権

 

 

債権者代位権の転用

責任財産保全以外の目的で用いられる。転用の場合、無資力要件は不要となる。

  • 登記請求権
  • 賃借権
  • 債権譲渡通知請求権
  • 担保価値維持請求権 など

 

 

判例

以下の判例は押さえておきたい。

判示事項 油絵代金返還請求

要素の錯誤による意思表示の無効を第三者が主張することが許される場合

裁判要旨

第三者が表意者に対する債権を保全する必要がある場合において、表意者がその意思表示の要素に関し錯誤のあることを認めているときは、表意者みずからは該意思表示の無効を主張する意思がなくても、右第三者は、右意思表示の無効を主張して、その結果生ずる表意者の債権を代位行使することが許される。

参照法条

民法95条,民法423条

 

判示事項  債権者代位権による建物明渡請求権の行使方法

裁判要旨

建物の賃借人が、賃貸人たる建物所有者に代位して、建物の不法占拠者に対しその明渡を請求する場合には、直接自己に対して明渡をなすべきことを請求することができる。

参照法条

民法423条

 

判示事項 保険金請求 代位行使の可否

交通事故による損害賠償債権を有する者が債権者代位権により債務者の有する自動車対人賠償責任保険の保険金請求権を行使するための要件

裁判要旨

交通事故による損害賠償債権を有する者がその債権を保全するため民法四二三条一項本文により債務者の有する自動車対人賠償責任保険の保険金請求権を行使するには、債務者の資力が債権を弁済するについて十分でないことを要する。

参照法条

民法423条1項

 

 

 

 

 

 

ベース問題

債権者代位権に関する次の記述のうち、判例の趣旨に照らして妥当でないものの組合せはどれか。

  • ア、著名な陶芸家の真作とされた陶器がA→B→Cと順次売却されたが、後にこれが贋作と判明した場合において、無資力であるBがその意思表示に要素の錯誤 があることを認めているときは、Bみずから当該意思表示の無効を主張する意思がなくても、Cは、Bに対する売買代金返還請求権を保全するために、Bの意思 表示の錯誤による無効を主張して、BのAに対する売買代金返還請求権を代位行使することができる。
  • イ、債権者Aは、Bに対する金銭債権を保全するためにBのCに対する動産の引渡請求権を代位行使するにあたり、Cに対して、その動産をBに引渡すことを請求することはできるが、直接自己に引渡すことを請求することはできない。
  • ウ、 不動産がA→B→Cと順次売却された場合において、それらの所有権移転登記が未了の間に、Dが原因証書等を偽造して、同一不動産につきA→Dの所有権移転 登記を経由してしまったときは、Cは、Bの債権者として、BがAに代位してDに行使することができる所有権移転登記の抹消請求権を代位行使することができ る。
  • エ、AはBから同人の所有する建物を賃借する契約を締結したが、その建物の引渡しが行われていない状態のもとでそれをCが権原なく占有してし まった場合において、Aが、自己の賃借権を保全するためにBに代位して、Cに対して建物の明渡しを請求するときは、Aは、建物を直接自己へ引き渡すことを 請求することができる。
  • オ、自動車事故の被害者Aは、加害者Bに対する損害賠償債権を保全するために、Bの資力がその債務を弁済するに十分であるか否かにかかわらず、Bが保険会社との間で締結していた自動車対人賠償責任保険契約に基づく保険金請求権を代位行使することができる。

 

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・エ
  4. イ・オ
  5. ウ・オ

 

 

 

 

 

 

正解:4

 

詳細はレジュメ参照